【映画】傑作「タレンタイム」を見逃してはいけない。
久しぶりにミニシアター系の映画館で映画を見てきました。場所は渋谷イメージフォーラム。TOHOや立川シネマシティで話題作を楽しく見るのも好きですが、小規模の映画館で落ち着いて見るのも良いですね。
お目当ては、「タレンタイム」という、マレーシア映画。ポスターで「伝説の映画」と評されている映画。もうこれだけで興味惹かれますね。
タレンタイム(2009年・マレーシア)
映画『タレンタイム~優しい歌』予告編(「I Go」&「Angel」2バージョン連続版)
ヤスミン・ハフマド監督による長編映画6作目にして、遺作。この映画を製作後、2009年に死去しています。
ストーリー解説
タレンタイムというのは、ある高校で開かれる音楽イベントの事。オーディションで選ばれた才能のある学生が自分の得意なパフォーマンスで演奏する演奏会。
タレンタイムのオーディションから、大会当日までの時間の中、4人の高校生とその家族について、物語が語られる。
ピアノの得意な女子学生ムルーと、ムルーが恋に落ちるマヘシュという青年。一見おちゃらけているようで、明晰で母親な思いなハフィズと、自分より優秀な彼を認めたくないカーホウ。
彼らの純粋な心と、彼らを取りまく家族の葛藤。タレンタイムを通して、彼らの心はどこへ向かうのか___!
見どころ
心に触れる、普遍的な優しさ
登場人物みんな、色んな形の愛情を持っているんですよね。それをどんな行動で示すかは人それぞれ違うけど、皆人間として温かい。
それが嘘くさくないのは、これは監督の手腕と人柄によるものでしょう。お涙頂戴感を感じるとすぐ警戒してしまって、冷めてしまうタイプの僕ですが、不覚にもぽろぽろ泣きました。すっごい久しぶり。
人と人の繋がりの優しさ。初々しい恋愛感情の美しさ。ぶつけ合う心と心の尊さ。人間性の素晴らしさをシンプルにドンと撃ち抜いてきます。
多民族国家、多宗教国家ならではの葛藤表現
これは日本では描けない形式です。民族が違う、宗教が違うという事のみで人と人がつながる可能性が失われる。多民族が暮らす国家で、異なる背景を持った人々がどのように考えているのか。
高校生4人とその家族の物語が群像劇的に描かれるわけですが、この国家背景が群像劇に重みを与えています。そして、だからこそ浮かび上がる、民族・宗教を超えて人と人がつながる可能性。
音楽が良い
主題歌2曲「Angel」「 I go」は映画の脚本と密接に関係がある曲ですが、この2曲が情緒的で素晴らしい!予告編では2曲それぞれのver.があるのでぜひ聞いてみて頂きたい。もし琴線に触れればすぐに映画館にGOして頂きたい。
まとめ
人の心をシンプルに響かせる傑作です。久しぶりに「映画って本当にいいものですね」って思えた映画。2009年の映画ながら、この映画を愛する人が自主上映を続けてきた、っていう理由がわかります。ぜひ休日にじっくりとご鑑賞ください。
全国順次公開中とのこと!
映画『タレンタイム〜優しい歌』|2017年3月25日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開!